NEON TOUR
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これは純度の高いネオン写真集である。
ページをめくって、写真にキャプションも無いことに驚いた。
前作と言えるLITTLE MAN BOOKS刊「NEON NEON」ではネオン製作者やネオンアーティストのインタビューなど、テキストも写真に負けないくらいの重要な位置を占めていた。
ところが本作「NEON TOUR」では、ほぼ文字は無い。
巻末に與那覇潤(よなはじゅん)氏による所感(この與那覇氏による文章が、僕のような辺縁にある者にとっては共感の嵐だったので、ぜひみなさんにも読んでいただきたい)と、各写真のおおまかな撮影地が記されているだけである(「だけ」は言いすぎました。奥付と、表紙にタイトル、著者名も書いてありますね)。
出版社のウェブサイト( https://littlemanbooks.net/ )を見ても、長々とした説明は書かれていないという潔さである。
さて、当店の店主は音楽家でもあるので、デジタル・シンセサイザーもアナログ・シンセサイザーも両方所有している。
両者の違いはいろいろあるが、ひとことで言うならば、アナログに比べてデジタルは”迷いが無い”。
アナログ・シンセサイザーの「不安定」や「不確定」などの要素がデジタルには無いのである。
デジタルはなるほど、たしかに「機能的」ではある。
「良い」か「悪い」かで言ったら「良い」である。
ただおよそ芸術など人間の感性に訴えかけるものについては、”良いものが良いとは限らない”。
このデジタルとアナログに類似した形が、LEDとネオンについてもあるのではないだろうか。
LEDはデザインの自由度が高いし、故障の心配も無い。
「機能的」である。
デジタル・シンセサイザーと同じような迷いの無さを感じる。
「良い」か「悪い」かで言ったら「良い」である。
ただこれも「看板」として利用される時は、人間の感性に訴えかける必要がある。
良いものが良いとは限らないのである。
まあそのようなことを言うと「ネオンは悪い」のような語弊も生まれるので、言い過ぎだったかもしれない。
反省します。
そして、多くを語らないことを良しとした本について、多くを語ってしまったことも反省します。
本書について少々値が張るように感じる向きもあるかとは思いますが、ほぼA4サイズの大きな判型で見る写真は没入感がありますし、LITTLE MAN BOOKSさんの本はどれも装丁が凝っていて、所有すること自体にも喜びを感じられますので、ぜひみなさんお手元へ。
(店主)
写真:中村 治
出版社:LITTLE MAN BOOKS
定価:6,300円+税
判型:280✕210mm 並製本
頁数:296ページ
発売日:2025年1月6日
ISBN:978-4-910023-05-2 C0072
僕たちのなにかが失われる時。
そんな時はいつでも、
ネオンの灯りを頼っていい。
夜の街には、僕たちが紡いできた物語がネオンの灯りとともに保存され、語られるのを待っている。写真家、中村治による、ネオンを巡る旅の記録。
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『「正しさ」には一種類しかないと思い込み、世界のすべてをそれで塗りこめてクリーンにしようとすると、実際には暴力的でギスギスした社会ができあがる。どんなに頭のいいはずの人たちがやっていようと、やっぱりそれはまちがってるんだ。小説のなか、東京タワー脇のプリンスホテルで窓を眺めながら、そう気づかせてくれるのはネオンサインの群れだった。 』
與那覇潤
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プロフィール
中村治
1971年生まれ。成蹊大学文学部文化学科卒。中国北京にて語学留学の傍ら、英国の通信社の現地通信員として写真を撮ることから写真家としてのキャリアをスタートする。帰国後、ポートレートを学ぶため写真家、坂田栄一郎に4年間師事。2011年、新宿ニコンサロンにて、福建省の山間部に点在する客家の村とそこに生きる人々を撮影した『HOME』を発表し、2019年に『HOME-Portraits of the Hakka』(LITTLE MAN BOOKS)を上梓。同作で第20回さがみはら写真新人奨励賞を受賞。2021年、今写真集の前作となる『NEON NEON』(LITTLE MAN BOOKS)を上梓。2025年、キヤノンギャラリー銀座/大阪にて写真展『NEON TOUR』開催。
デザイン:大倉真一郎
寄稿:與那覇潤
印刷・製本:藤原印刷株式会社
プリンティングディレクション:花岡秀明
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